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リチウムイオン電池内蔵携帯扇風機の事故と注意喚起

安全対策・市販品

通勤通学の猛暑対策として人気となっている携帯型扇風機の事故が2020年に入って急上昇している。携帯型小型扇風機の殆どが中国製で、インターネット通販やショッピングモールでリーズナブルな価格で入手することができる。

製品評価技術基盤機構(NITE)によると、携帯型扇風機に関する事故は2019年~2020年までの2年間で37件ほど確認されており、内蔵されているリチウムイオン電池の不具合が原因により、充電中に発火する事例があるという。

独立行政法人製品評価技術基盤機構より https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2021062401.html

充電中に発火する原因は、電池内部の内部短絡により引き起こされる。

内部短絡を引き起こす原因としては、①巻回体(正極/セパレータ/負極/セパレータをロール状に巻いたもの)の巻きずれ、②負極表面上の金属析出(Li金属、Fe金属、Cu金属)に分かれる。

①巻回体の巻きずれは、製造工程上で検知できるメーカーと検知できないメーカーに分かれており、厳しい注文をすれば検知して流出を防ぐことが可能である。しかしながら、中国ローカル企業の電池の殆どは、検知できるが面倒くさくてやっていないが実態である。

②負極表面上の金属析出(Li金属、Fe金属、Cu金属)が起こる原因は、製造メーカーの水分管理の甘さにより引き起こされる。また、許容電流以上の充電電流 (or 低温時の充電)によって、負極でLiイオンを受け入れきれなくなると、苔状のLi析出、デンドライト状のLi析出を引き起こすことがある。デンドライト状のLi析出が起こり、セパレータを突き破ってしまうと正極と負極が通電し内部短絡を引き起こすこととなる。

一般的な円筒形リチウムイオン電池にはガス抜き弁が設けられており、内部短絡による急激な内圧上昇による破裂・発火を予防する機構がある。一方で中国の一部電池メーカー製の電池は、価格を安価に抑えるために、内部短絡時の安全機構を備え付けられていないものも散見されており、携帯型扇風機の価格競争の弊害として安全性を軽視されているのではないかと考える。

電池の充電時間が異様に長い、充電時の発熱が感じられる場合には、破裂・発火の前兆となる可能性もあるので、即刻使用を中止し販売店/販売者へ返品するべきでしょう。

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