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中国のリチウムイオン電池規制(1)RoHS、GB31241-2014

安全性・規格

電池に関する主要安全規格は、ヨーロッパやアメリカだけではなく、中国にも独自の規制があります。


中国RoHS、GB31241-2014、CCC、輸出規制などについて、数回に分けて簡単に記載します。

中国RoHS


中国RoHSは、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限する法です。
正式名称は「電器電子製品有害物質制限使用管理弁法」といいます。

中国で製造、販売、輸入される製品が対象となります。

内容がEUのRoHSとほぼ同じであるため、一般には、中国RoHS(China RoHS)と呼ばれており、中国国内でもRoHSの名称で通じます。

RoHSとは、電気・電子機器(EEE)に含まれる有害物質の使用を制限するEUの規則のことです。
EUのRoHSについて、詳しくはこちらで解説しています。

中国RoHSの歴史 2007~2019



2007年に「電子情報製品汚染制御管理弁法」が発令されました。これを「中国RoHS」、2016年に改正された現在の法律を「改正中国RoHS」と区別することもあります。

2019年5月、国家市場監督管理総局/State Administration for Market Regulatio(略称:SAMR)と中国工業情報化部
/Ministry of Industry and Information Technology (略称:MIIT)は、中国RoHSの改革に関する布告を発表しました。

2019年11月1日以降に製造された、また、輸入されるリスト製品は、任意認証を取得するか、自己宣言で要求事項に準拠している必要があります。

RoHS自主認証(CQC 中国品質認証センターによる)
RoHS自己宣言(CNCA 国家認証認可監督管理委員会)のオンラインシステム

自主認証あるいは、自己宣言による適合性評価を行い、国家認証認可監督管理員会(CNCA)の公開プラットフォームに文書をアップロードすることを求められます。
①と②はおのおの、グリーン製品標識使用管理弁法合格評価標識(CGPマーク)を使用します。
リチウムイオン電池とCQCについてはこちらでも触れています。

中国RoHSと欧州RoHS指令の違い

項目EU版RoHS中国RoHS
規制対象EU圏内で、製造、販売、輸入される電気電子機器中国本土で、製造、販売、輸入される電気電子機器 直流1,500V/交流1,000Vまで
規制物質鉛、水銀、カドミウム、六価クロム化合物、
ポリブロモビフェニル(PBB)、
ポリブロモジフェニルエーテル(PBDE)、
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)、
フタル酸ブチルベンジル(BBP)、
フタル酸ジブチル(DBP)、
フタル酸ジイソブチル(DIBP)
鉛、水銀、カドミウム、六価クロム化合物、
ポリブロモビフェニル(PBB)、
ポリブロモジフェニルエーテル(PBDE)
表示RoHSマーク(CEマークに含むことができる)

※RoHSマークには公式のデザイン規定はありません
マーキング要件(SJ/T 11364-2014)
(有害物質が含まれない)
色はグリーン推奨

(有害物質が含まれる。中央の数字は通常の使用で外部へ汚染・損害を及ぼさない年数)
色はオレンジ推奨

グリーン製品標識使用管理弁法合格評価標識(CGPマーク)
自主認証

自己宣言
対象製品の範囲11カテゴリすべて
免除限定されているEUとは一致しない
リチウムイオン(電池)単電池については、電池指令が優先する一次および二次単電池も対象になる

EUのRoHS指令では、電池指令が優先されるため、リチウムイオン電池を含む単電池は対象になりませんが、中国RoHSでは対象になります。

規制物質の含有量を把握して、要求があればレポートを提出する必要があります。




GB31241-2014 携帯電子機器用リチウムイオン電池の安全要求



2014年12月、中国国家標準化管理委員会は、「携帯型電子製品のリチウムイオン電池および電池パックの安全要件」(GB31241-2014)を制定し、2015年8月に発効しました。

GBとは中国国家標準規格で、日本のJIS規格に相当します。
GB規格には、最も強制力のある「強制GB」と、国家が推奨するガイドライン「推奨GB(GB/T)」、IECやISOなど国際規格である「指導的GB」があります。

GB31241-2014は、携帯型電子機器に使用される、リチウムイオン電池(セルおよびバッテリー)の安全技術仕様です。

強制GB規格であり、準拠していないと中国国内では販売することができません。

試験項目

GB31241-2014に求められる主な安全性試験です。

  • 短絡試験(常温、高温)
  • 過充電
  • 強制放電
  • 低気圧
  • 高温サイクル
  • 振動
  • 加速衝撃
  • 圧壊
  • 高温耐久
  • 燃焼噴射
  • 振動、衝撃、落下


取得後の記載


規格取得後の製品記載の一例です。

alibaba.com

画像は中国の通販サイトで販売されている、大手中国メーカー製のスマートフォン用リチウムイオン電池です。
容量や電圧の下に、执行标准:GB31241-2014 と記載されています。(执行标准=執行標準)

また、中国RoHSのマークがあり、有害物質が含まれ、使用期限が5年であることが読み取れます。

CEマークにより欧州の安全基準もクリアしており、ゴミ箱マークの下に黒線がないので、価格にリサイクル費用が含まれてはいません。
PCTは、ロシアの「GOST適合マーク」
KC certification number は韓国の安全認証です。
IEC62133を取得しています。

日本国内で販売される場合は、PSEを取得し、記載することになります。



中国のCCC(強制認証制度)とCQC(自認制度)とGB31241-2014、リチウムイオン電池についてはこちらに記載しています。

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