中国における認証制度であるCCC、CQCとはなにか、リチウムイオン電池に必要な規格について記載します。
CCC(3C)中国強制認証
CCCは、China Compulsory Certification(3C)=中国強制認証の略です。
中国が国内で販売・輸入される製品に対して、品質と安全性の適合を求める審査認証です。
他国からの製品輸入販売について、自国の安全基準による審査する制度として、CEマーキングやUL、日本ではPSEなどに類似します。
中国に輸出され販売される対象製品は、CCC認証を取得し、CCCマークを表示する義務があります。
評価基準となるのは、国家標準のGB規格で、認証が必要な製品に対応するGB規格があります。
CCC対象製品は多数あり、不定期かつ継続的に更新されています。
グローバル貿易拡大に伴い、それまであった規格を統合し、2003年8月1日から発効されました。
2023年4月現在、CCC(中国強制認証)はリチウムイオン電池自体には必要ありません。
しかしながら、CCC認証を得る最終製品については、リチウムイオン電池がGB31241規格に適応していることなどを、CQCなどの認証機関が求めています。→2024年より変更予定です。
※2022年12月29日付の中国国家標準公告で、「携帯型電子機器用リチウムイオンバッテリーおよびバッテリーセット 安全技術規範」を規定した「GB 31241-2022」が公布されました。
2024年1月1日より実施される予定です。
この「GB 31241-2022」が、ポータブル電子製品のリチウムイオン電池および電池パックに関する現在の「GB 31241-2014」規格にとってかわるという通知が、2023年2月27日付でCQCより通知されました。メーカーは2023年12月31日まで、古い基準に従って証明書を取得できますが、2024年1月1日からは新しい基準に従うことが義務付けられています
それに伴いリチウムイオンセルおよびバッテリーは、中国CCC認証とバッテリー登録の対象となる可能性があります。
バッテリーにCCC認証が必要となる件、まだ不明点がありますので、随時更新・修正します。
また、情報提供してくださるサイトもありますので、適宜ご確認いただければ幸いです。
GB NAVI https://gbnavi.jp/whats_new/5462/
株式会社アルテリエ https://www.arterie.co.jp/china/1025.html
PS-Farm Product Safety https://www.ps-farm.com/china-ccc-info-appliacable-standard/
CCCの対象となるのは、完成した製品であり、構成部品は含まれません。
リチウムイオン電池はCCCの対象とされてはいないので、電池単体での対応となります。
→2024年1月1日からCCC対象となる予定です。
リチウムイオン電池の場合
では、リチウムイオン電池(単体・組電池)は中国へ輸入・販売される際にどのような認証が必要になるのでしょうか。
製品品質・安全性として、必要になる規格としては主に下記があります。
GB31241-2014 携帯電子機器用リチウムイオン電池の安全要求
GB 38031-2020 電気自動車用動力蓄電池安全要求
ChineseStandard.net
シンガポールの法人Field Test Asia Pte Ltdによる中国標準 GB/T、GBT、GBのリスト
GB 38031-2020
GB38031-2020は、電気自動車用の二次電池、バッテリーパック、システム、トランクション・バッテリーの安全要件と試験方法です。
2021年1月1日から発効されました。
「熱伝播テスト」が新しく追加され、バッテリーパック内のセルの熱暴走後に、乗客が車から離れられるよう、少なくとも5分間は火災、爆発を引き起こさないことを確認するような設計が求められています。
TUV SUD 2020年10月7日
中国新安全規格GB 38031-2020に基づくトラクション・バッテリー試験
https://www.tuvsud.com/tr-tr/basin-ve-medya/2020/october/testing-of-traction-batteries-according-to-new-chinese-safety-standard-gb-38031-2020
GB31241-2014
より一般的なリチウムイオン電池のセル・バッテリーを対象とするのは、GB31241-2014です。
ポータブル電子製品のセルおよびバッテリーパックの強制基準の安全要件となります。
GB31241-2014に基づいた有効な任意認証として、CQCの任意認証があります。
CQC
CQCとは、China Quality Certification Center=中国品質認証センターの略で、CCCが強制認証であるのに対し、CQCは任意認証になります。
CQCは中国最大の資格認定機関です。CCCに該当しない多くの製品について、自主的なCQC任意認証を与え、製品品質を保証します。
CCCの範囲外でCQC認証を取得する製品、CCC認証を得たうえでCQCも取得する場合もあります。
CQC認証取得のプロセス
CCCとCQCの認証取得プロセスは同様です。
図面などのドキュメント申請を行い、受理されたあと、テスト試料はGB基準に従って承認されたラボでテストされます。また、製造工場での工場検査が必要になります。合格後、認証書が発行されます。
CQC証明書は毎年更新する必要があります。認証工場はフォローアップ検査が求められます。
申請は製品生産者、販売者、輸入業者、または資格をもつ代行者が行うことができます。
GB31241-2014のCQC認証
2014年に制定、2015年に発効されたGB31241-2014は、2016年1月31日以降に情報処理機器、AV機器、通信端末機器のCQC認証(GB 31241規格)への適合を追加。同年3月には、工場検査の要求を変更しました。
工場検査については、GB31241によるCQCなどの認証のほか、『GB31241の過電圧充電(9.2項)、過電流充電(9.3項)および外部短絡(9.6項)の試験項目に適合している製品同一性試験レポート(PVT試験レポート)の提示。』でも対応可能であり、日本品質保証機構などで申請代行や、試験設備を利用したPVTレポート作成のサービスを行っています。
一般財団法人日本品質保証機構
中国(国際認証サービス)
https://www.jqa.jp/service_list/safety/service/global/china/
関連略称表
日本語でも略称でも覚えにくいので、一覧にしてみました。
略称 | 正式名 | 内容 |
CCC | 中国強制認証制度 | 中国国内に輸入される製品の品質安全認証制度 厳しい |
SAMR | 国家市場監督管理総局 | CCC認証業務の管理監督を行う(輸入など) |
CNCA | 中国国家認証認可監督管理委員会 | CCC認証の規制当局 http://www.cnca.gov.cn/ |
CQC | 中国品質認証センター | 中国最大の製品認証機関。製造業者がCCC認証を取得するために必要なプロセスを管理。CQC任意認証も発行 |
GB規格 | 中国国家標準規格 | 中国国内で対象製品を販売する際に必須の規格 |
CCCマーク | 品質・人と環境への安全性など中国の強制標準基準に適合したことを表示するマーク CNCAの要求事項に従って印刷する。 | |
CQCマーク | 品質・人と環境への安全性など中国の定めた基準に適合したことを表示するマーク サイズ・色の規定がある。 |
CCCの検査条件を定めているのは、CNCA(中国国家認証認可監督管理委員会)です。
国家市場監督管理総局(SAMR)は品質のほか、各種輸入検疫を監督しています。
評価基準となるのは、国家標準のGB規格で、認証が必要な製品に対応するGB規格があります
CCC対象製品は多数あり、不定期かつ継続的に更新されています。
CCCを取得しているかどうかは、中国税関で審査されます。
CQCは自主的な任意認証ですが、中国国内での評価が高く競争力が得られる、また税関が通りやすくなるなどのメリットがあります。
税関は荷揚げ場所により審査の厳しさが異なり、運や担当者による判断で大きく左右されます。
中国は国土が広いこともあり、その傾向が強いように感じることもあります。
不用意な準備で輸出入に手間取るよりは、確実に認証を得てリスクを減らすほうが良い場合もあるかと思います。