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電池漫談(6)保護回路の無いリチウムイオン電池は危険なのか~18650の場合

コラム

こちらの記事は、お問い合わせメールから頂いたご質問への回答をベースにしています。
一般的な危険防止の知見として、サイトを閲覧してくださる方のお役に立てるかと思い、具体的なご質問内容に触れる部分を除いて記事としました。
技術的なお問い合せにもできる限り対応しています。お問い合わせはこちらからお願い致します。


18650電池は、多くのECサイトで販売されています。
単セルや、それに保護回路を付けたタイプの電池などが一般的です。そもそも保護回路が必要なのか、必要ならばどのような場合なのでしょうか。


「保護回路のないリチウムイオン電池が危険なのかどうか」ですが、
どのような機器に使用されるか、充電方法をどうするかで考え方が変わります。

1)使用するセルが1セル使いの場合

1)使用する機器が1セル使いの場合
充電電圧/放電電圧はセル電圧に依存しますので、必要以上の電圧印加されることは無く、必要以上に放電で引っ張られることもありません。
充電器側での過充電保護、機器側での過放電保護がしっかり働いていて、正常なセル電圧範囲で制御されていれば、安全に使用できると考えます。

→1セル使い、1セルでの独立した充電では、元々のセルに致命的な欠陥が無い限り、保護回路は不要でも問題なし。

2)使用するセルが2直列以上の場合

直列で使用する場合、(コンシューマ製品では一般的に)機器側では総電圧の監視のみを行っており、各セル電圧の監視まではしていないことが多いです。
使用しているうちに、劣化が進むセルがおのずと出てくるため、保護回路が入っていないと劣化が進むセルが周りのセルと比べて電圧が低くなったり内部抵抗の上昇が現れます。
充電時に各セルで充電すれば問題ないのですが、まとめて充電する場合にはセルバランスの崩れが起きるため、保護回路の有無で危険度が変わります。保護回路が入っていると過充電防止機能により、安全に充電が停止しますが、入っていない場合は過充電域まで充電されてしまい、発火に至るケースもあります。

→保護回路は必要。充電方法も考えなければなりません。(保護回路が無い場合は、総電圧での充電ではなく、各セルに独立した充電が必要。)

保護回路によるセル性能への影響

保護回路の想定が「電池を取り外して充電し、1セルでの使用が前提。」と思われる場合、
充電器の上限電圧保護、機器側での放電下限電圧が機能していれば問題にはなりません。
なぜ問題になるかというと、いい加減なセルメーカーの18650がECサイトで流通しているためです。
ですので、そこそこ品質のよさそうなLG製/Samsung製/Murata製の18650を選定し、正常な充電/放電を順守すれば大きな問題にはならないはずです。

ただし、そこそこ品質のよさそうなLG製/Samsung製/Murata製の18650に保護回路を付けた場合、セルの外側に保護回路が付属し、溶接や接触抵抗も加わり、内蔵されているケーブル線径も細いので、過電圧が大きくなると考えます。
その場合、使用する機器によって元々のセルの能力以下になる可能性があります。モーター負荷用途やドローン用の大電流を要する機器の場合、SPEC通りの容量が得られるかどうかは不明のため、例えば3000mAh以上と銘打ってあっても、せいぜい500mA~1000mAまでの機器で使用するのが無難と思います。

LEDなどの消費電力が小さい機器の場合、上記に記載したセルの外側の余計な抵抗成分も気にならないため、’’安価で売られている18650セルと比べて’’ 優秀だと感じることもあると思います。
ですけども、一般に購入される方は電池の容量を図る術を持たず、感覚で判断されており、果たして本当に優秀なのかは不明です。

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