電子タバコユーザー、LEDライトユーザー必見!
Amazonや楽天で販売されている18650セルの中には、大容量・大電流を詠っている仕様の18650セルがどんどん増えているようですね。容量はもちろん大電流仕様になっているか皆さん気になるところだと思います。
今回はバッテリーハイテスタと充放電試験機を使って市販18650セルの性能比較をしてみました。
今回評価したのは、この3モデル。
VTC6(3000mAh/INR 18650)
Efest(3000mAh/INR 18650)
Vapcell(3000mAh/INR 18650)
Efest18650 | Vapcell18650 | VTC6 18650 | |
容量 | 3,000mAh | 3,000mAh | 3,120mAh |
平均電圧 | 3.7V | 3.7V | 3.6V |
最大放電電流(瞬間) | 35A | 35A | 30A? |
最大放電電流(連続) | 20A | 20A | 30A? |
最大充電電流 | 4.0A | 不明 | 5.0A |
標準充電電流 | 2.0A | 不明 | 1.0A~3.0A |
正極主成分 | ニッケル | ニッケル | ニッケル |
まずは電池の状態確認をします。
HIOKI社製バッテリーハイテスタ3561で測定しました。
これはもう職業病のようになっており、電池評価をする前には必ず行っています。
電圧(V) | ACR(mΩ) | 重量(g) | |
Efest 18650 | 3.602 | 15.3 | 46 |
Vapcell 18650 | 3.714 | 14.1 | 46 |
VTC6 18650 | 3.473 | 13.5 | 47 |
Efest18650とVapcell18650はやや電圧が高い結果となりましたね。
拙者、普段の仕事でLG社の電池を使うことが多いのですが、航空輸送での容量制限を意識したSOC30%未満で届いています。Efest18650とVapcell18650セルはSOC30%以上あるのでしょうかね。VTC6はSOC30%未満を順守していそうな感じと思います。
続いて充放電試験(北斗電工社製5V10A充放電試験機)
充放電条件は、各社横並びにするために充電は4.2VCC(600mA/0.2C)、放電は600mA/0.2CCC放電3.0Vcutでやってみました。CV充電は時間がかかるため今回はCC充電で終えてしまいました。
充電するのにおよそ4時間程度、放電では4時間~4時間半で終わります。(CV充電を入れると、プラス2時間程度かかるんでしょうかね。)
そして充電後の放電曲線がこちらになります。
考察
1)型番にあるINR18650の『INR』というのは、正極の主成分がニッケルであることを示しており、現在のリチウムイオン電池のトレンドとなっています。(ちなみにIMRは主成分がマンガン、ICRは主成分がコバルトという意味です)
放電曲線が全く違うのに驚きました!この放電曲線の違いは、正極活物質の違いと見てほぼ間違いなく、各社でニッケル/コバルト/マンガンの比率が異なっていることが分かります。(小型電池の業界トレンドはNCM523です。以前はLCOがメインでしたがコバルト地金相場の上昇によりコバルト比率を下げる方向に向かっているんです。)
2)容量比較
VTC6:2,802mAh > Vapcell:2,767mAh > Efest:2,689mAh
CV充電を面倒くさくて行わずすみません。いずれも3,000mAhには到達しませんでしたが、VTC6の容量が一番高かくなりましたね。これは当初の想定通りでした。VapcellとEfestは3,000mAhには及ばないんだろうと想像していましたけども、やや足りない程度でこちらも想定外の結果となりました。(3,000mAhの公称容量に対してそれぞれ2850~2900mAh程度ではないでしょうか。)
3)DC抵抗値(放電)の優位性は下記のようになりました。
VTC6 >> Efest > Vapcell
VTC6 | Efest | Vapcell | |
放電DCR(5秒値) | 29.6mΩ | 65.4mΩ | 71.3mΩ |
EfestやVapcellのDC抵抗(放電)はVTC6に比べて2.2~2.6倍程度のようです。この2倍強の数値は非常にインパクトがあると考えます。というのも、電子タバコのような大電流を流す場合の電池に掛かる負荷=発熱量となるので、同じ電流を流した場合には2倍強の発熱量になる計算です。
発熱量が大きい分だけ、電池への負荷が大きくなりますから、耐久性に影響を及ぼすと考えれます。
今回の比較検証の結果、
電子タバコ用の18650セルとして購入を検討されるなら、MURATA製作所製のVTC6がおすすめです。
理由は、電池容量とDC抵抗が他の2つよりも優れていたためです。特にDC抵抗は他と比べて半分以下でしたから、耐久性に期待でき、セル内部発熱の懸案も少なく安心して使用できます。
LED用の18650セルとして購入を検討されるなら、どのセルでも問題ないでしょう。わたしがあえて選ぶとすれば、VTC6かVapcellを選択します。
最後に
当方はリチウムイオン電池評価の専門機器を所有しており、一般の方ができないようなことも手を出しやすい環境にあります。もしも、こんな電池も評価して欲しいというご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせ頂けます様お願い致します。