匂いや副流煙の少なさ、紙巻きたばこの価格上昇などから、電池を内蔵した電子たばこや加熱式たばこを愛用する人が増えています。
その一つが、C2加熱式たばこのFasoul。
Fasoulは、加熱方式を変えることでアイコスなどで吸ったたばこを「1本で2度吸える」が売りの加熱式たばこです。
Fasoulはどのような構造で、どのような電池を内蔵しているのでしょうか。
Fasoulの製造国
Fasoulはどこの国の製品なのでしょうか。
日本向けサイトにも、グローバルサイトにも、会社説明や製造国について記載がありません。
実はFasoulは、中国の会社です。
中国では、電子たばこ・加熱式たばこが規制されています。他にも電子たばこ類の規制がある国は多く、未成年への悪影響や健康被害を理由に完全に禁止されている国もあります。
ですので、中国国内でFasoulは公的には販売されていません。
Fasoul C2に内蔵された電池の種類
電子たばこ・加熱式たばこの多くは18650電池を使っています。18650は円筒形缶タイプ電池で、容量も大きく、筐体サイズに収まりやすい形です。
また、事故が起きれば被害は大きいものの、缶で膨れを抑えるためラミネートセルより膨れ由来の不具合が起きにくいのも特徴です。
Fasoulの電池はどうなのでしょうか。
まずは電池を見るため、筐体を外し内部を取り出しました。
取り出した状態。長方形の電池に沿うように基板がついています。

Fasoulの内部で電池の占める割合は、全体の半分ほどです。

加熱部分は電池上部の筒になります。
基板から配線が繋がり、ヒート部が電池と筒の間にあります。

回路基板です。

電池です。
18650ではなく、中型のラミネートセルでした。
3.7V、6.85Wh、容量は1850mAhです。
重量は34g。標準的な18650が50gで2500~3000mAhなので容量としては妥当です。

カプトンテープを外し、タブを露出させます。
正負極のタブが両端に出ているタイプです。

電池解体…巻きずれ?
ここからの作業は、電解液が漏れて危険なためグローブボックス内で行います。
外装を剥いて内部の巻回体(電池の主部品)を取り出します。
グリーンのテープに印字された数字は工場の巻回機ナンバーです。電池がどの機械で製造されたか追えるようになっています。

リチウムイオン電池は、正極と負極(活物質を塗った正極箔と負極箔)、箔同士の接触を防止するセパレータ、電解液が主材料です。そこに外装やタブ、保護回路などが加わります。

Fasoul内部のラミネートセル電池は、内側からセパレータ・正極・セパレータ・負極の順番で重ね、ぐるぐると巻かれた「巻回式」です。
ほとんどのラミネートセル電池は巻回式で、製造の巻き工程に人の手が入る半自動式と、完全な自動式があります。
巻回体をほどいていくと、この電池には少々巻きずれがあることがわかりました。
巻きずれとは、正極と負極が中央で重ならずにずれていることです。

通常、負極は正極より大きく設計されています。
大きさが同じだと、重なったエッジに負荷がかかり、セパレータを貫通してショートする可能性が高まるからです。
内側からみて、正極の裏側にみえる負極のマージンが上下同程度であれば、中央で重なっていることになります。が、どちらかのマージンが大きい場合は、正負極にずれがあり、ショートする可能性が高まっているといえます。

部分拡大。マージンの差が見えるでしょうか。
巻きずれは、リチウムイオン電池の不具合発生の原因の一つとなる製造工程上の問題です。

巻回体を、最後までほどきます。
正極、負極の活物質面はきれいで、塗工も一定しています。
リチウム析出、コンタミなどは見られませんでした。
この電池はほぼ未使用のため、サイクル後の劣化状態は不明です。
n数を増やし検証が必要ですが、このセル解体での不安点・改善点としては巻きずれがあげられるでしょう。
Fasoulの安全性・構造レビュー★★★★☆
Fasoulのプラス点
・回路基板、電池活物質の素材がよい
・電池塗工にむらがなく全体に丁寧につくられている
Fasoulのマイナス点
・リチウムイオン電池にやや巻きずれがみられた
・電池まわりのクリアランス、クッションなど筐体設計の衝撃配慮がもう一歩進んでいるとよい
価格と安全性、構造のバランスは☆4つです。
★★★★☆
いずれにしても、リチウムイオン電池は危険品に分類される製品です。落下後の利用や充電状態の放置など、事故につながる使用は避けてください。
電子たばこと加熱式たばこの違い
電子たばこはカートリッジ内のリキッド(液体ニコチン)を加熱し蒸気を発生させます。
加熱式たばこはタバコ葉を加熱して蒸気を発生させます。
まだ知見が少ないものの、紙巻きたばこと同様に健康に影響があります。
Fasoulはたばこスティックの過熱場所を変えて二度吸いできる加熱式たばこです。加熱式たばこの規制は通常の紙巻きたばこと同様です。
英語では電子たばこ=vape/e-cig、加熱式たばこはHTP(Heated Tobacco Product)などと呼ばれます。










