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リチウム金属電池(リチウムメタル)の輸送・梱包ガイド

安全性・規格

2023/1/30:2023年1月1日施行のIATA DGR 64版改定について、変更点を反映いたしました。

主要変更点について詳しくはこちらをご覧ください


リチウム金属電池(リチウムメタル)の輸送梱包規定は、リチウムイオン電池とは異なります。
リチウム金属電池の方が、エネルギー密度が高いためです。
リチウム金属電池の国際航空輸送について記載します。

国際輸送に必要な基本的な規則、UN38.3、SoC、SDS(MSDS)、該非判定書、危険物申告書については、リチウムイオン電池と共通です。
そちらについて詳しくはリチウムイオン電池の輸送・梱包をご覧ください。

リチウムイオン電池の輸送・梱包ガイド

リチウム電池 国際輸送の基本

輸送梱包基準を解説する前の確認です。

国連勧告輸送試験 UN38.3 (航空、海上、鉄道輸送に求められる安全性認証試験)必須
・国連番号 リチウム金属電池は UN3090、UN3091
・航空輸送は、国際航空運送協会(IATA)が発行する危険物規則書GDRが基準
・IATA GDRの包装基準(PI) リチウム金属電池は PI968、PI969、PI970
・リチウムイオン・リチウム金属電池の単体(単電池・組電池)は旅客機での輸送が禁止
・危険物申告書(DGD:Declaration of Dangerous Goods)は、危険物貨物取扱資格保持者が作成、署名は責任者である荷送人もしくは指定代理人が行う

リチウム金属電池 航空輸送基準

リチウム金属電池の輸送は、国連番号と、IATAのGDRに基づいて行われます。
GDRとは、Dangerous Goods Regulationで、危険物規則書と訳されます。IATA GDRは2022年現在、63版(the 63rd edition)が最新となります。

国連番号とPIの関係

UN3090 リチウム金属電池 単体は PI968
UN3091 リチウム金属電池 機器同梱は PI969,機器組込は PI970


UN番号の違いについて、単体というのは、単電池、組電池そのものということです。
単電池は電池だけのセルの状態、組電池は保護回路など外部装置をつけたバッテリーです。
1S1Pのバッテリーはセルではないので、組電池の扱いになります。

機器同梱は、機器から外したバッテリーを機器とともに一つのパッキングにした状態、
機器組込は、機器にバッテリーを装着した状態を指します。


2022年1月1日発効&2023年1月1日発効 IATA変更点

最新のIATA危険物規則書第63版(GDR)において、リチウム金属電池に関わる大きな変更点がありました。
PI965およびPI968が改訂され、これら2つの梱包手順からセクションIIが削除されました。
PI968はリチウム金属電池単体(単電池・組電池)の梱包基準PI(Packing Instruction)です。
この変更点については、2022年3月31日までが移行期間となり、以降はセクションⅡは適用されなくなりました。

2023年 IATA危険物規則書第64版(GDR) でリチウムイオン電池に関わる変更点は、
包装基準(PI)968:UN3490、リチウムイオン電池単体の単電池、組電池におけるSectionⅠBの外装箱に3mの積み重ね試験が追加されたことです。
また、PI969, PI970のSectionⅡをオーバーパックに入れる場合はすべてのパッケージをパックに固定する必要があります。

第63版(2022年版)の重要な変更点および修正点(IATAウェブサイトよりPDF)原文
SIGNIFICANT CHANGES AND AMENDMENTS TO THE 63RD EDITION (2022)

The 63rd edition of the IATA Dangerous Goods Regulations incorporates all amendments made by the IATA Dangerous Goods Board and includes addenda issued by ICAO to the content of the 2021–2022 edition of the ICAO Technical Instructions.

https://www.iata.org/contentassets/b08040a138dc4442a4f066e6fb99fe2a/dgr-63-en-significant-changes.pdf

航空輸送の梱包基準 PI968,PI969,PI970

リチウム金属(メタル)電池の国際航空輸送梱包基準です。

リチウムイオン電池とはここが違う!

☆ Wh値ではなくリチウム含有量によって区別されます
☆ SoC30%の充電率制限はありません



電池単体(単電池・組電池)の場合 UN3090 PI968(20023/1/30)



機器同梱の場合 UN3091 PI969(20023/1/30)



機器組み込みの場合 UN3091 PI970(2023/1/30)

(お役立ちサイト)
FedEx 
出荷したいリチウム製品を選択すると、関連する貨物情報を確認できるウェブツール
包装基準、必要書類、必要となる容器とラベルが表示されます
https://www.fedex.com/ja-jp/shipping-guide/pack/lithium-batteries.html


JAL CARGO
リチウム金属またはリチウム合金のセル及び組電池の取扱い一覧表(2022年1月改訂)
https://www.jal.co.jp/jalcargo/support/danger/pdf/lithium_metal_battery.pdf

各種ラベルのリチウムイオン電池、リチウム金属電池の適用やサイズ、添付ルールはこちらでご案内しています。


負極としてカーボンの代わりにリチウム金属や合金を用いたリチウム金属電池は、リチウムイオン電池に次ぐ、次世代電池として今後さらに実用化が広がる可能性があります。
性能向上につれて、安全な輸送への規制もより重要になっていくと思われます。

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