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UN38.3 規格

リチウムイオン電池の安全性規格
UN38.3の基礎知識/試験内容とは

リチウムイオン二次電池を国際輸送する際に必要となる「UN38.3」について解説します。
(2022.4.27:安全性試験内容T6を修正しました)

UN38.3とは

UN38.3は、リチウムイオン電池の国連勧告輸送試験です。(リチウム金属電池も同様です)

危険物の国際的な輸送規制に統一性を持たせ輸送の安全を図るため、国際連合により策定されました。

国連マニュアルPart Ⅲ, subsection 38.3, paragraph 38.3.5に指定されています。

UN38.3はどのような場合に求められるか

リチウムイオン電池の国際輸送に際し、航空、海上、鉄道輸送において求められます。

リチウムイオン電池の国際輸送時に求められる、最も基本的で重要な安全性規格です。

勧告は法的拘束力を持ちません。
自己宣言ということになります。

ですが、航空会社などの取り決めなどでUN38.3の基準を満たしていないリチウムイオン電池製品は、輸送する事ができません。
テストレポートが必要なため、メーカーが自分で、あるいは認証機関や試験機関で評価試験を行い、正式書類を作製・取得します。

※UN38.3の試験に合格した後は、毎年更新などをする必要はありません。規格や試験合格基準に大きな変更があれば別ですが、試験には時間とコストがかかるため、その際には移行期間がある程度設けられます。




UN38.3を取得しただけで輸送できるわけではなく、リチウムイオン電池の国際輸送にはIATA規定や梱包基準(PI)の規則が細かく決められています。
詳しくはリチウムイオン電池の輸送・梱包ガイド(2022年1月最新)をご覧ください。

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輸出貿易管理令に基づいて、該非判定書が求められる場合もあります。

UN38.3取得にかかる費用と時間

UN38.3を取得するためテストを依頼しようとした場合、検査機関により費用が異なります。
行う試験は同一です。自国外で取得することもできます。
単電池・組電池の容量により、検査に対応できる機器が異なるため、依頼する検査機関で実施可能か確認が必要です。
また、認証機関で行う必要はなく、決められた試験条件の元であれば自分で行うこともできます。

試験期間は約1カ月から1ヶ月半ですが、試験機関で該当する機器が使用できない場合もあるため、早めに予定を確認してスケジュールを組んだほうがよいでしょう。

国連勧告輸送試験UN38.3 安全性試験内容

 試験名 試験条件判定基準
T1高度 シミュレーション気圧11.6kPa以下の減圧雰囲気に少なくとも6時間貯蔵する漏液、弁作動、破裂、発火の無き事。試験後の開路電圧が試験直前の90%以上である事      
T2温度試験72℃±2℃・6h⇔40℃±2℃・6hを10サイクル行う。休止時間は最長30分とする。完了後、周囲温度(20±5℃)で24時間保存する漏液、弁作動、破裂、発火の無き事。試験後の開路電圧が試験直前の90%以上である事
   T3振動試験7~18Hz 1G 18~50Hz 1.6㎜ 50~200Hz 8G 往復15分 X、Y、Zの3方向各3時間 合計9時間漏液、弁作動、破裂、発火の無き事。試験後の開路電圧が試験直前の90%以上である事
T4衝撃試験ピーク加速度150gn パルス持続時間6㎜セコンドのハーフサイン衝撃を与える。衝撃は X、Y、Zの正方向に3回、負方向に3回の合計18回の衝撃を加える漏液、弁作動、破裂、発火の無き事。試験後の開路電圧が試験直前の90%以上である事
T5外部短絡試験57±4℃環境下で0.1Ω未満の外部抵抗で短絡する試験後6時間以内に破裂・発火が無き事
T6圧壊試験50%充電の単電池を平板に挟み、圧壊する外部温度が170℃を超えず、試験中、試験後6時間以内に破裂や発火が無き事
T7過充電試験最大充電電圧の2倍、または22Vのいずれか低い方。製造業者が推奨する最大充電電流の2倍で充電を24時間行う試験後7日間以内に破裂・発火が無き事
T8強制放電製造業者が定めた最大放電電流で強制放電を行う試験後7日間以内に破裂・発火が無き事
※参考資料 2021.06

T1からT5は同一電池で実施し、T7は組電池、T8は単電池に適用されます。
小型、大型、単電池、組電池、モジュールにより、それぞれフレッシュ品とサイクル品の決められた数量で試験を行います。

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