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CEマーキング概要、CEマークとバッテリー

安全性・規格

EUが定める安全基準であるCEの基礎とバッテリーの関連、中国CEなどについて簡単に解説します。

CEマーキングとは(CE marking)

CEマーキングとは、欧州経済地域で販売される製品がEUの安全基準に適合していることを意味し、CEマークはそれに則って表示するマークを指します。

規制当局は欧州委員会(European Commission)です。


European Commission

「欧州経済地域(EEA=European Economic Area)で単一拡大された市場で取引される製品の多くに’CE’の文字が表示される。これらは、EEAで販売される製品が高度な安全性、健康保護、環境保護の要求を満たしていることを示す」

欧州議会のCE マーキングのページより


CEマーキングが使用されるEEAの加盟国と、その他は合わせて、32か国です。
EEAは、欧州連合(EU)加盟27か国と(EFTA:欧州自由貿易連合)の3か国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー)、計30か国。
参考※欧州議会用語集欧州環境機関
CEマーキングが必要な国には、スイスとトルコが更に含まれます。スイスはEU,EEA加盟国ではありませんが、単一市場の一部とみなされています。トルコもEU加盟国ではありませんが、加盟候補国としてCE準拠しています。

CEマーキングが必要とされている国


メーカー、流通・販売業者の義務

製造業者は、関連する整合規格に準拠するように製品を設計し、評価を行い、製品にCEマークを添付します。
UN38.3などと同じく自己宣言ですが、根拠となる必要な技術試験と結果をレポートして証明し、CEマークを表示します。

CEマークの表示

CEマークは欧州議会のサイトからダウンロードできます(ai,eps,jpg,png,gifに対応)DL
高さ5mm以上のサイズで消えないように表示する必要があります。
輸入業者と流通業者は、規則に準拠しCEマークを表示した製品のみをEEA市場に供給するよう求められます。

CEマークのロゴ要件

・認識可能な形式のイニシャルCE
・両方の文字の垂直方向の寸法は同じで5mm以上
・縮小拡大する場合は2文字の比率を尊重する(字詰めもしない)
・そのうえで色は自由
・長期にわたり明瞭に読めること

技術文書(TD)、TCF(Technical Construction File)

製造者は、整合規格に適した技術仕様により設計を行う事が推奨されます。整合規格に即した評価試験を行い、合格するとともに、技術文書を作成、保管しなければなりません。
整合規格の選択は、メーカーの責任における判断に委ねられます。
技術文書(Technical Documentation)はTFC(Technical Construction File)とも呼ばれます。要請がある場合は提出しなければならないもので、10年間は保管を求められています。

バッテリーとCEマーク

バッテリー製品がCEマーキングに準拠する場合、関連する認証試験は電気/電子機器のEMC指令(Directive 2014/30/EU)があげられます。EMCはElectromagnetic compatibilityで、電磁両立性と訳されています。
製品からの電磁波が医療機器など他のデバイスに干渉しないことを確認する必要があります。(電磁放射しないタイプの装置は試験を受ける必要はありません)
EUのEMC指令適合規格から、製品に必要なEMC試験を行います。



また、低電圧指令=Low Voltage Directive (LVD)(2014/35/EU)もあります。
AC50~1000V(DC75~1500V)で使用される電気機器が対象となります。
EU適合規格のEN61010-1:2010は2022年5月30日で廃止されるため、低電池指令は2019年版に適応している必要があります。

EMC指令と低電圧指令はほとんどの電気製品が準拠する必要があります。


セルなど電池単体の場合、「RoHS指令と電池指令、EU新電池規則案について」、「WEEE指令と電池指令:欧州規制」「モバイルバッテリーに記載された各種マークを説明します」でも触れたとおり

RoHS指令より電池指令が優先する(RoHSは電池単体に適用されない)。
WEEE指令に対しては、対象機器から廃機器から事前に分離したのち、電池指令に則って処理する
RoHS指令の内容はCEマークに含まれている。


ですから、電池単体におけるCEマーキングとの関係は、
RoHS指令より電池指令が優先される=RoHS準拠表示の必要はない
・RoHS準拠はCEマークに含まれるとみなされる=RoHS表示と同じくCEマークの表示は必要ない
のようにも解釈できます。

EN規格とは

EN規格とはEUにおける統一規格である「欧州規格=EuropäischeNorm(独語)」を指します。European Standards、EN Standardsと呼ばれることもあります。
CEN(欧州標準化委員会:European Committee for Standardization)、CENELEC(欧州電気標準化委員会:European Committee for Electrotechnical Standardization)、ETSI(欧州電気通信標準化機構:European Telecommunications Standards Institute)によって作成維持されている技術規格です。

EN規格の一覧は、膨大になりますが、英語版Wikipediaが参考になります。

List of EN standards
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_EN_standards

Contents
1 EN 1–999
2 EN 1000–1989
3 EN 1990–1999 (Eurocodes)
4 EN 10000–10999
5 EN 11000–49999
6 EN 50000–59999 (CEN specific, non-IEC electrical standards)
7 EN 60000-69999 (CEN editions of IEC standards)
8 See also
9 References
10 External links

二次電池に関わるEN規格
  • EN 50272-1: Standards for Safety requirements for secondary batteries and battery installations – Part 1 General safety information
    【二次電池および電池の設置に関する安全要件】鉛蓄電池を対象
  • EN 50272-2: Standards for Safety requirements for secondary batteries and battery installations – Part 2 Stationary batteries
    【固定二次電池および電池の設置に関する安全要件】鉛蓄電池とNiCd電池を対象


    車のバッテリーは国内のJIS規格から欧州統一のEN規格バッテリーの採用が進んでいます。

CEマークと中国CE

中国製品にCEマークによく似たマークが表示されており、China Export(中国の輸出)を意味する、という都市伝説があります。

欧州議会は、この件について「中国輸出を意味するCEマークの存在は認識していない」と2007年に正式に回答しています。
https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/P-6-2007-5938-ASW_EN.html?redirect

・CEマークのデザイン、サイズ、比率を尊重しない表示がある事は認識している。そのため誤解が生じている。
・誤用を防ぐため、市場監視の規則案を提案している。
・準拠していない製品にCEマーキングを誤用している場合は法的措置を行う。



一方、中国版RoHSは法律として存在しています。(中国版RoHSがあるのでCEもあると混乱されるのかもしれません)
中国RoHSは、中国で施行されている有害物質の規制で、正式名称は「電器電子製品有害物質使用制限管理弁法」です。2007年の「電子情報製品汚染制御管理弁法」が2016年に現在の管理弁法となりました。
中国RoHS(China-RoHS)などと通称されていますが、中国国内でも該当法を「RoHS」と呼んでいるそうです。
中国RoHSについては別途解説したいと思います。


おすすめのサイト


CEマーキングが求められる製品は多様で、適切な整合規格と試験を選択する必要があります。
詳細が複雑であるため、CEマーキングについては多くの専門家の解説サイトがあります。
どれも詳しく参考になります。
概要のまとめとしては、Panasonic社のサイトが大変わかりやすくまとまっているかと思い、お勧めします。

CEマーキングの概要(Panasonic)
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/export/information/eu/ce_marking/index.jsp
CEマーキング適合確認からEU域内販売まで、
制御機器商品に対する適用EC指令、
EN規格とは、
規格の種類・認定機関
など図解も含めて解説してくれます。

また、JETROのサイトではCEマーキング手続きの流れと、詳細について問い合わせ可能な認証代行機関が掲載されています。

貿易・投資相談Q&A>CEマーキングの概要:EU
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04S-040011.html


独立行政法人東京都立産業技術研究センターの海外の法規制に関するFAQ「CEマーキング」 
CEマーキングについて30の質問と回答があります。

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