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IATA CEIVリチウム電池認証(CEIV LiBa)とは

ミニ情報



IATAの新しいリチウムイオン電池規定に、CEIVリチウム電池認証があります。
IATAにとって、4つ目のCEIVになります。

CEIVとは、IATA(国際航空運送協会)が策定した”The Center of Excellence for Independent Validators”の略です。

言葉だけだと、なんのこっちゃ? という感じなのですが、validatorはWeblio辞書によると「検証コントロール」だそうです。(IT用語では別の意味があるようですが、この場合は合致しないのでおいておきます)


日本語としては、直訳ではなく、「航空輸送品質認証」のように訳されているようです。
簡単にCEIV認証(CEIV Certification)という事もできます。いわば、IATAが決めた、特殊貨物の輸送と取扱いにおいて、一貫した基準を満たしているかを規定するガイドラインになります。
認定された組織のすべての施設、設備、運用、配送業者、スタッフが期待される基準で運営され、ガイドラインに準拠していることを保証するシステムです。

CEIVで引くと、CEIV Pharma(The Center of Excellence for Independent Validators in Pharmaceutical Logistics)が多く出てきます。
2017年に発令された、医薬品や医療機器の物流におけるグローバルな品質基準です。Covid-19のパンデミック以来、国際的なワクチン輸送の必要性により、多くのロジスティクス、フォワーダー、航空会社がCEIV Pharma認証を取得しました。

ANA Cargoの「IATA CEIV Pharma認証について」を参照すると、CEIV Pharma認証制度の対象範囲があり、各空港において各航空会社や物流会社が認証を取得しなければならないようです。

ANA Cargo | 国際品質認証 IATA CEIV Pharma認証を取得
ANAは日本の航空会社として初めて、IATA CEIV Pharma認証を成田空港にて取得しました。

つまり、成田空港のほか、アジア圏、欧州圏、南北米その他世界の空港で、CEIV PharmaやGDP認証を取得していかねばならないということです。サプライチェーンのグローバル化により、安全品質基準の枠組みが厳しくなっており、ならざるを得ないことを図らずもコロナ・パンデミックが露わにし促進したようです。

IATAも、Covid-19状況下で、ワクチンを含む温度管理が重要な製品の輸送において、一貫した基準を満たし安全性を保障する業界標準として強く取り組みを進めています。


CEIVにはほかに、CEIV Live Animals、CEIV Fresh があります。
生きている動物、生鮮食品の取扱いと、航空輸送の改善を求める取り組みです。

そしてCEIV Lithium Battery (CEIV LiBa)

さて、ここまできたところで、リチウムイオン電池に関係ある部分です。

IATAは、CEIV Lithium Battery (CEIV LiBa)も策定してしまったのです。

CEIV Lithium Batteries
The CEIV Lithium Batteries (CEIV Li-batt) certification program enables shippers and freight forwarders of lithium batte...

2021年10月に、IATAは4つ目のCEIVとして、サプライチェーン全体でのリチウム電池の安全な取り扱いと輸送のために、新規業界認定プログラム、CEIV LiBaを開始しました。

リチウム電池ですので、リチウムイオン電池だけでなくリチウム金属電池も含まれています。
リチウム電池の出荷(セルおよびバッテリー)には既に、製造、テスト、梱包、マーキング、ラベル付けなど多くの規制がありますが、さらに物流において、荷送、輸送に携わる業者が、取扱いと品質管理レベルを向上させるためのトレーニングとベースラインの基準を確立する目的です。

内容としては3つのフェーズがあります。

  • トレーニング:リチウム電池の取扱いに関わる全ての担当者を対象に、リチウム電池安全ロジスティクス管理トレーニングを行う。
  • 評価:CEIV LiBaの監査チェックリストにより評価される。ギャップ分析を含む包括的フィードバックが提供される。
  • 検証:最終検証により、組織がプログラム基準を満たしていることを確認するために、是正対処やフォローアップなどギャップ分析がすべて対処されていることを確認する。

認証が与えられたら、2年ごとに更新が必要です。継続的な準拠の確認のためにトレーニングと検証のフェーズが再度行われます。

将来的に拡大されるかも

2021年に開始されたばかりですので、今のところごく一部の大手ロジスティクスが認証取得している程度で、現場に大きな影響を及ぼしているわけではありません。

ただし、今後何か大きな事故や問題が起これば、CEIV LiBa認証を取得していないとリチウム電池の航空輸送ができなくなる、難しくなる、といった事態が発生するかもしれません。

それは困るなあ…面倒くさい…ただでさえ色々あるのに…
というのが正直なところではありますが、現在、リチウム電池の出荷がIATAのGDR規制準拠をしていなかったり、虚偽申告をしたことによる事件が増えています。
それにより、IATAが、サプライチェーン全体にCEIV LiBaの対処を強く求める筋道もありそうな気がしています。
とにかく、リチウム電池が危険物であることを、製造から輸送に関わる全ての人が認識し、安全品質を守っていく必要性を改めて感じます。



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