リチウム電池の国際発送方法について知っておくべきこと
主にIATAのウェブサイトを参考に、特にリチウム電池の海外輸送について知っておきたい事を簡単にまとめました。
リチウム電池は危険物
リチウム電池、特にリチウムイオン電池はスマートフォン、ノートPC、タブレットなど多くのモバイル機器をはじめ、電動工具、電動掃除機、電気自動車やバイクなど大型の製品にも含まれています。
あまりにも身近なため、リチウム電池が危険物に分類されている実感を持ちにくいのですが、国際輸送は非常にハードルが高いものです。
世界で、危険物を国際輸送する場合、最高位のルールは国連（UN: United Nations）の「危険物輸送勧告」です。世界各国の航空・海上輸送は国連勧告の要件に従って運用されています。
リチウム電池は、国連勧告で指定され国連番号を与えられている危険物です。航空、海上、鉄道、陸路の輸送にはUN38.3の試験をクリアしている必要があります。
国連番号として、UN3480/3481（リチウムイオン電池）、UN3090/3091（リチウム金属電池）、ＵＮ3551/3552（ナトリウムイオン電池）が与えられており、サブサプライヤーからエンドまで、バッテリーの輸送プロセスのすべてに適用されます。
輸送の際には、さらに下記に従う事が求められます。
航空輸送
・IATA（国際航空運送協会 International Air Transport Association IATA： 世界の航空会社による業界団体）の危険物規則
海上輸送
・IMDG-Code（ 国際海上危険物規定 The International Maritime Dangerous Goods Code： IMO 国際海事機構が危険物の個品輸送に関して定めた規則）
・そのほか、米国離発着には連邦規則集 49 CFR というハザードマテリアルにおけるレギュレーションがあります。中国では、中国国内からリチウム電池を輸送するためのUN38.3のテスト機関はCNAS認定ラボでなければならないなど、国により規則が適用されています。
リチウムイオン電池とリチウム金属電池の違いは何か
リチウム電池（Lithium Batteries）とは様々な化学的性質をもつ電池の一群を意味しています。それらは危険物規制の中では、リチウムイオン電池とリチウム金属電池に分けられています。
リチウムイオン電池は負極に主にカーボンを使用しています。
リチウム金属電池の負極には金属リチウムが含まれています。そしてエネルギー密度がリチウムイオン電池より大きい為、別のレギュレーションが適用されます。
リチウムイオン電池： UN3480、UN3481
リチウム金属電池： UN3090、UN3091
リチウム電池はどんな状態で発送できるか
リチウム電池を発送する場合、必ず規定があり、下記の通り梱包基準が分類されます。
①単体（セルまたは組電池）※モバイルバッテリーなどパワーバンクもここに含まれる
②機器同梱（セルまたは組電池）
③機器組込（セルまたは組電池）
リチウムイオン電池の輸送梱包について詳しくは、＜リチウムイオン電池電池の輸送・梱包ガイド＞を、リチウム金属電池に輸送梱包については、＜リチウム金属電池の輸送・梱包ガイド＞をご覧ください。
リチウム電池を空輸する際に確認すべきこと
- セル及び組電池は該当する国連試験をクリアしているか
- すべての端子が短絡保護されているか
- 梱包制限を順守しているか
- 外側と内側に適切なパッケージが使用されているか
- パッケージに必要なマークとラベルがついているか
- 必要書類を付与されているか
すべてのマークとラベルは、すべてのパッケージの外側にはっきりと見えている必要があります。輸送に携わるすべての人に内容と適切な取り扱い方法、問題発生時の対処方法を通知します。
詳しくは、＜リチウム電池輸送の危険物ラベルとマーキングガイド＞をご参照ください。
適切な文書は、危険物の申告書、航空運送状、ＭＳＤＳ、該非判定書などです。荷送人が貨物に付随します。適切な充電状態で正しく梱包され申告されていることを順守するのは荷送人の責任となり、航空会社はその証拠として宣言文書を受け入れます。内容と実際が異なり、虚偽の申告がされたことが判明した場合、アクションを起こすのは規制当局の責任となります。
